海のサイエンスカフェ

日本海洋学会教育問題研究会



第7回海のサイエンスカフェ開催報告

 

福島原発事故グループの話題

情報提供者:中野英之 教育問題研究会会員
文責:市川洋

追加説明: 大気核実験由来の放射性物質は、1963 年を極大として、海面に雨として降り注いだ。シミュレーションや観測の結果から、1960年代後半の北太平洋表層の広い領域で約数十Bq/m^3の濃度であった。一方、新聞などで報道された、福島原発からの高濃度の汚染によるものと思われる海洋中の測定値の濃度は、狭い領域であるものの、30km 沖で20 Bq/l --> 20,000 Bq/m^3と桁違いに高い。単位に関しては Bq/cm^3 という単位も使われることもあり、また、mBq,μBq の単位も取り混ぜてつかわれるため、数字だけを見た場合には、非常に紛らわしい。

<参考資料>     
Aoyama, M., Hirose, K., (2004), Artificial radionuclides database in the Pacific Ocean: Ham database. The Scientific World Journal 4, 200-215.     
Tsumune, D.,  M. Aoyama, K. Hirose, F. Bryan, K. Lindsay, and, G. Danabasoglu (2011), Transport of 137Cs to the Southern Hemisphere in an ocean general circulation model. Progress in Oceanography 89, 38-48.

 

 (質問) 深いところに、Cs などはいくのか?

 (答え) Cs はほとんどが溶けた状態であり、また、溶けたからといっても、重くなるわけではないので、粒子として沈降するのではなく、海の流れに乗る。北太平洋では、海の深層(2000m)付近まで沈み込む流れはないので、福島原発由来のCs が直接深層にいくことはないであろう。

議論: これらの、シミュレーションは、今後各研究機関で行われるであろうし、また、たぶん現在原研などでは、行われているであろう。ただし、シミュレーションの不確定性から、その発表の仕方には、工夫が必要であろう。

議論: 重いプルトニウムなどは、海に流れ出る前に、沈降するであろう。

話題: 最終的には、再処理をするために、六ヶ所村に持って行くのか? 

その場合、どうやって? 陸路? 海路?