海のサイエンスカフェ

日本海洋学会教育問題研究会



第7回海のサイエンスカフェ開催報告

 

科学と社会グループの報告

寄稿:佐藤伸代さん(一般参加者)
編集:市川洋

 

中学生へのボランティア教育では、自分の身近にある運河が海と繋がっていることさえ知らない、そもそも海自体に興味を持っていない。3月11日の大震災の日、平塚在住の一般参加者からは、単に「津波が来る」という話の中で見えた冷静を保つ人々には、きちんと情報を理解した上で冷静を保っている人と、全く無関心だからこそ冷静を保っていた人の姿が見えたという。
その背景にあるものとして、最近よく言われる科学技術ばなれというのは、大人が無知または無関心であることが引き起こしている。海に興味を持たない生徒の親や教師自身興味がないということからも、その状況が垣間見える。
そうなった原因として挙げられたものは、興味を持っていなければ新発見や進歩があるものの、学校を卒業してしまうと知識の更新がされないということもあるが、継続的な教育体制に欠けているということも挙げられるのではないか。
「こども教室」「親子教室」といったかたちで、子供や子供がいる親世代であれば様々な体験ができるが、それ以外の大人たちには体験することで体得するという機会は少ないというのが現状。そればかりではなく、様々な知識レベルがあるにも関わらず、大人向けのアプローチは入門編か基礎知識の部分がほとんど。もっと本格的に学びたいといっても、「そこまで勉強したければ大学に」といきなりハードルが高くなり、徐々にステップアップしていくことが難しい、それが興味を失わせていることにもつながっているのではないかといったことが挙げられた。
池田元美さん(教育問題研究会員)が教えていらっしゃる週2コマ、90分の社会人向けの講義においては、受講者の平均年齢が62歳と、現役世代と言われる人々が少ない。講義は18時30分スタートと夜間講義ではあるものの、会社勤めの場合、勤務時間と移動時間を考えると、参加したくともなかなか難しい。
解決策として考えられることは、土曜日や日曜日の午前中に講義を行う、レベルに会わせた内容でアプローチすることができる体制を作るなどの意見が出た。
海は生物、気象、地学といった分野ばかりではなく、飛行機やクルマに通じる流体力学がペンギンのフラップから、運河や港湾設備などからは土木技術、というようにありとあらゆることを学ぶことができる教材に四方八方囲まれているなど、恵まれた環境を活用することもできる。
最終的には、鉄腕アトム、仮面ライダー、ガンダムのように継続的に大人も子供もあらゆる方面から科学技術に接することで、共通認識がありとあらゆる世代が交流することで広がるような状況が望ましいのではないか。

・・・・・という意見でまとまったかと思う。